コラム – テクニックの分類学 | パズル製作研究所
テクニックの分類
ここまで 6 つのテクニックを紹介しました。 ここでは 6 つのテクニックを違う視点で見てみます。 そうすることで、6 つのテクニックを使って実際に何をしているのか、より深く理解できるようになります。
6 つのテクニックは大きく分けて次の 2 つのグループに分かれます。
- テクニック 1、5
- テクニック 2、3、4、6
1 つ目のグループは、候補テーブルを作ったときに候補集合に 1 つの数字しか含まれていない空白のセルを見つけるテクニックです。 これはまさにテクニック 5 の内容そのものです。 テクニック 1 はテクニック 5 の特殊な場合です。
2 つ目のグループは、枠、行もしくは列の領域に注目して候補テーブルを見たときに、その領域内の候補集合に 1 度しか出てきていない数字とその数字が候補集合に含まれる空白のセルを見つけるテクニックです。 領域内の複数の候補集合を調べる点がグループ 1 との違いです。
これは、テクニック 6 で行と列に注目するところを枠にも注目するようにした場合と同じです。 枠にも注目するように変更したテクニック 6 をテクニック 6' と呼ぶとすると、テクニック 2、3、4 はテクニック 6' の特殊な場合です。
グループ1
テクニック 1 の例題について、テクニック 1 を使ったときの候補集合を見てみます。
すると、座標が (4, 9) の空白のセルの候補集合は数字の 2 だけを含んでいます。
テクニック 1 を使って数字を入れた空白のセルは、テクニック 5 を使っても見つけられることがわかります。
一方で、座標が (1, 7)、(3, 4)、(5, 4)、(6, 3)、(7, 5)、(9, 8) の空白のセルは候補集合に含まれる数字が 1 つなので、テクニック 5 を使うと数字を入れられますが、テクニック 1 ではこれらの空白のセルを見つけられません。
テクニック 1 は、テクニック 5 で数字を入れられる空白のセルのなかで特殊な条件を満たしたセルのみを見つけるテクニックです。
特殊な条件というのは、空白のセルが、枠、行もしくは列のいずれかの領域に注目したときに領域内でただ 1 つの空白のセルであることです。 このような空白のセルはボード上で簡単に見つけられるので、テクニック 1 を最も簡単なテクニックとしました。
グループ2
テクニック 2 の例題について、テクニック 2 を使ったときの候補集合を見てみます。
左上の枠に注目すると、枠内で数字の 1 は座標が (3, 3) の空白のセルの候補集合にしか含まれていません。 テクニック 2 を使って数字を入れた空白のセルは、テクニック 6' を使っても見つけられることがわかります。
同じように、テクニック 3 の例題について、テクニック 3 を使ったときの候補集合を見てみます。
9 行に注目すると、行内で数字の 4 は座標が (9, 6) の空白のセルの候補集合にしか含まれません。 テクニック 3 を使って数字を入れた空白のセルは、テクニック 6' を使っても見つけられることがわかります。
最後に、テクニック 4 の例題について、テクニック 4 を使ったときの候補集合を見てみます。
2 列に注目すると、列内で数字の 1 は座標が (6, 2) の空白のセルの候補集合にしか含まれません。 テクニック 4 を使って数字を入れた空白のセルは、テクニック 6' を使っても見つけられることがわかります。
以上のことから、テクニック 2、3、4 がテクニック 6' の特殊な場合であることがわかります。
テクニック 2 は、枠ごとに注目して、枠の領域内の空白のセルの候補集合で 1 度しか出てこない数字を探しています。 枠内に出ていない数字に注目して、その数字が入る空白のセルが枠内に 1 つしかないか調べるのは候補テーブルがなくてもボード上で簡単にできます。 これが、テクニック 6 では行と列のみに注目して枠には注目していない理由です。
一方で、行と列については、注目した数字が入る空白のセルが領域内に 1 つしかないか、ボード上で調べるのはとても難しいです。 これは、視線を上下左右だけでなく斜め方向にも動かして調べる必要があるからです。 そこで、候補テーブルを作る前にそのような場所を見つけるヒントとして、空白のセルが 2 つしか残っていない行と列に注目するのがテクニック 3 です。 3 つの数字が 1 つの枠内にならんでいる行と列をヒントとして使うのがテクニック 4 です。
テクニック 3 とテクニック 4 を使っても注目した数字が入る空白のセルが領域内に 1 つしかない行と列を全て見つけることはできないので、候補テーブルの助けを借りてテクニック 6 で最終チェックしています。