テクニック12 – XYチェイン | パズル製作研究所
テクニックの概要
テクニック 12 では、候補集合に含まれる数字の数が 2 つの空白のセルに注目します。 このようなセルを数字のペアを候補集合に含む空白のセルということでペアセルと呼びます。
初めに 1 つの数字に注目します(図では数字の 4 に注目します)。 注目した数字を含むペアセルを探します。 そのペアセルから XY チェインというチェイン(鎖)でペアセルを次々につなぎ、候補集合が注目した数字を含むペアセルで終わるチェインを作成します。
この XY チェインでつながれた最初と最後の 2 つのペアセルには次の特徴があります。 それは、最初のペアセルに注目した数字が入らないことが決まると、最後のペアセルに注目した数字が入ることです。
この特徴を使うと、XY チェインでつながれた 2 つのペアセルのそれぞれの影響領域が重なる領域に含まれる空白のセルの候補集合から注目した数字を消せます。 これは次のように考えます。
XY チェインでつながった 2 つのペアセルを A、B とします。 A に注目した数字が入る場合を考えます。 この場合は A の影響領域に含まれる空白のセルの候補集合から注目した数字を消せます。
A に注目した数字が入らない場合を考えます。 この場合は XY チェインの特徴から、B に注目した数字が入ります。 すると、B の影響領域に含まれる空白のセルの候補集合から注目した数字を消せます。
A に注目した数字が入るかどうかは決められません。 しかし、どちらの場合でも A と B の影響領域が重なる領域に含まれる空白のセルの候補集合からは注目した数字を消せます。
XY チェインの作り方
初めに 1 つの数字に注目します。 その数字を X とします(図 1 では数字の 4)。 数字の X 含むペアセルの 1 つに注目します。 注目したペアセルの候補集合は 2 つの数字を含んでいるので候補集合を {X, Y} で表すとします(下の図では {4, 8})。
次にこのペアセルの影響領域内にあるペアセルの中で数字の Y を含むものに注目します。
そのようなペアセルが複数ある場合は、どれか 1 つに注目します(図では座標が (1, 8) のペアセル)。 そのようなペアセルが無い場合は、XY チェインが作れないということなので別のペアセルからやり直します。 数字の Y を含むペアセルの候補集合を {Y, Z} で表すとします(図では {8, 9})。
先ほどと同じように、このペアセルの影響範囲内にあるペアセルの中で数字の Z を含むものに注目します。
数字の Z を含むペアセルの候補集合を {Z, Z0} で表すとします(図では {4, 9})。
X = Z0 の場合は {X, Y} -> {Y, Z} -> {Z, X} という XY チェインの完成です。 X = Z0 では無い場合は同じ手順を繰り返して XY チェインが作れないか調べます。
1 度通過したペアセルを 2 度通過してはいけません。 つまり、途中でループ(輪)ができてはいけません。
XY チェインの最初のペアセルから次のペアセルへは注目した数字じゃない方の数字(上の例では数字の Y)でつなぎます。 候補集合が {Y, Z} のペアセルに数字の Y でつないできた場合は、次のペアセルに数字の Z でつなぎます。
XY チェインの最後のペアセルは注目した数字を含んでいます。 また、XY チェインの最後のペアセルへは注目した数字じゃない方の数字(上の例では数字の Z)でつなぎます。
注目した数字を含むペアセルが 4 つ以上ある場合、XY チェインの途中で注目した数字を含むペアセルを通過してもかまいません。
XY チェインの特徴
XY チェインには、最初のペアセルに注目した数字が入らないことが決まると、最後のペアセルに注目した数字が入る特徴があります。 {X, Y} -> {Y, Z} -> {Z, X} という XY チェインで確認します。
最初のペアセルに数字の X が入らないとします。 するとペアセルの候補集合は 2 つの数字しか含まないので、最初のペアセルには数字の Y が入ります。 XY チェインの 2 番目のペアセルは最初のペアセルの影響領域にあるので、このセルには数字の Y は入りません。 よって、2 番目のペアセルには数字の Z が入ります。
最後のペアセルは 2 番目のペアセルの影響領域にあるので、最後のペアセルには Z は入りません。 よって、最後のペアセルには数字の X が入ります。
これで XY チェインの特徴を確認できました。 この特徴は XY チェインの長さが長くなっても成り立ちます。
テクニックの使用例
下の図を例題として使います。
テクニック 11 までのテクニックを使って解き進めると下の図のようになります。
数字の 3 に注目します。 次に座標が (1, 2) のペアセルに注目します。
このペアセルの候補集合は {3, 8} です。 XY チェインの最初のペアセルから次のペアセルへは注目した数字じゃない方の数字でつなぎます。 そこで、このペアセルの影響領域内にあるペアセルの中で数字の 8 を含むものを探します。
座標が (1, 4) のペアセルに注目します。
このペアセルの候補集合は {3, 8} です。 数字の 8 に注目してこのペアセルにつないできたので、次のペアセルへは数字の 3 でつなぎます。 このペアセルの影響領域内にあるペアセルの中で数字の 3 を含むものを探します。 すると、座標が (1, 2)、(2, 5)、(8, 4) のペアセルが見つかります。
次のペアセルとして、座標が (1, 2) のペアセルを選ぶとループができるので、このペアセルには戻れません。 ここでは、次のペアセルとして座標が (2, 5) のペアセルに注目します。
座標が (2, 5) のペアセルの候補集合は {3, 8} で数字の 3 を含んでいます。 しかし、XY のチェインの作り方で述べたように、XY チェインの最後のペアセルへは注目した数字じゃない方の数字でつなぐ必要があります。 つまり、ここで XY チェインの作成をやめることはできません。 数字の 3 に注目してこのペアセルにつないできたので、次のペアセルへは数字の 8 でつなぎます。 このペアセルの影響領域内にあるペアセルの中で数字の 8 を含むものを探します。 すると、座標が (1, 4)、(7, 5) のペアセルが見つかります。
次のペアセルとして、座標が (1, 4) のペアセルを選ぶとループができるので、このペアセルには戻れません。 ここでは、次のペアセルとして座標が (7, 5) のペアセルに注目します。
座標が (7, 5) のペアセルの候補集合は {3, 8} で数字の 3 を含んでいます。 またこのペアセルへは数字の 8 でつないできたので XY チェインが完成します。 XY チェインでつないだペアセルの座標は (1, 2) -> (1, 4) -> (2, 5) -> (7, 5) です。 それぞれの候補集合は {3, 8} -> {8, 3} -> {3, 8} -> {8, 3} です。
XY チェインの最初のペアセルと、最後のペアセルの影響領域が重なる領域に注目します。
座標が (7, 2) の空白のセルの候補集合には数字の 3 が含まれています。 この領域には数字の 3 は入らないので、候補集合から数字の 3 を消せます。
テクニックの詳細手順
- 1 つの数字に注目します。
- 注目した数字を含むペアセルに注目します。
- XY チェインの作り方にしたがって XY チェインを探します。
- XY チェインの最初のペアセルと最後のペアセルの影響領域が重なる領域に注目します。
- 注目した数字が候補集合に含まれる空白のセルが注目した領域にある場合は、候補集合から注目した数字を消しテクニック 1 に戻ります。
- 候補集合から注目した数字が消せない場合は、次の XY チェインを試します。
- XY チェインがない場合は別のペアセルに注目します。
- すべてのペアセルについて候補集合から数字を消せなかった場合は、次の数字を試します。
- すべての数字について候補集合から数字を消せなかった場合はテクニック 13 を試します。